『のんのん日和』で出会った動物は一体なんなのか?
- アーティスト:一条蛍(村川梨衣),越谷夏海(佐倉綾音),越谷小鞠(阿澄佳奈) 宮内れんげ(小岩井ことり),宮内れんげ(小岩井ことり),一条蛍(村川梨衣),越谷夏海(佐倉綾音),越谷小鞠(阿澄佳奈)
- 出版社/メーカー: ランティス
- 発売日: 2013/11/06
- メディア: CD
太陽が沈みそうなのん
澄んだ川 覗いて
小さな魚みつけた
名前も知らない花を摘んで
ちょっぴり
水の匂い
夏海「あ、あれってハクビシン?」
れんげ「タヌキなのんっ」
小鞠「アライグマでしょ」
蛍「イタチですよ」
動物に会釈する横断歩道
上記は楽曲「のんのん日和」の冒頭である。その内、今回は
夏海「あ、あれってハクビシン?」
れんげ「タヌキなのんっ」
小鞠「アライグマでしょ」
蛍「イタチですよ」
この部分の歌詞で4人が遭遇した動物は何なのかを「のんのんびより」の世界観やキャラクター性、各動物の生態などから多角的に考察する。
この歌詞の並びからすると4人が遭遇したのは「イタチ」だと多くの人考えるのではないだろうか。
なっつんは?マークがついている自信がない様子で、すぐさまれんちょんに「タヌキ」だと否定されている。そのれんちょんもこまちゃんに「アライグマ」だと否定され、さらにこまちゃんもほたるんに「イタチ」であると否定される。
その後、ほたるんの「イタチですよ」という発言に対する否定がないので4人が遭遇したのは「イタチ」である。というのは、あまりにも短絡的で結論を出すには早いのではないだろうか?
私が抱いた違和感は「一条 蛍」が「イタチ」であると断言している部分である。
なぜれんちょんたちが住んでいる田舎に東京から引っ越してきて1年も経っていないほたるんが、他の3人がそれぞれ別の動物の名前を挙げていて断定できていないのに「イタチですよ」と断言できるのだろうか?
ほたるんの動物に対する知識量を考えてみよう。作中で明記されているものとしては
など、詳しいのか詳しくないのか微妙なところだというのが結論だろう。(なお、山菜や野草の知識は皆無で、他3人の方が植物には詳しい。)しかし、大人びたほたるんが「ハクビシン」「タヌキ」「アライグマ」「イタチ」の違いを見分けられたとしても変ではない。しかし、なっつんの存在が不自然に感じる。
なっつんはこの4人で最も生物や自然に対する知識が豊富だという描写が明確にある。
- ほたるんにトカゲ、イモリ、ヤモリの違いを説明する。
- 実際にほたるんにイモリのいる池を案内する。
- イモリの幼体の説明をする、両生類だという分類も理解している。
- コウモリに石投げるとエサだと思って落ちてくる。
- 鮎はスイカの匂いがする。
- ひか姉がただのヤドカリだと思った生物を天然記念物のオカヤドカリだと瞬時に判断できる。
- 野生の天然記念物を捕獲するのは犯罪だと知っている。
など、作中に何度もその知識を披露する場面があり、「のんのんびより 8.5 公式ガイドブック」内にも「自然に対する知識は豊富」とある。実際、アニメ版限定だがその知識をほたるん本人に褒められる。このことから動植物の知識は
なっつん>ほたるん
ということになる。このように考えると、知識のあるなっつんが「ハクビシン」だと思った動物を「イタチ」だと判断したほたるんの信憑性は若干落ちる。
さらにもうひとつ重要なのが、ほたるん以外の3人は恐らくこの田舎で生まれ、生活しており、そこに生息している野生動物をある程度把握していると考えられる。その点でほたるんは他の3人より信憑性が低い。
では次にれんちょんとこまちゃんの知識はどの程度か考えよう。
のんのんびより 8.5 公式ガイドブック (MFコミックス アライブシリーズ)
- 作者:あっと
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2015/07/23
- メディア: コミック
ではれんちょんの知識から
などあまり詳しいという描写は見られない。小学1年生という年齢を考えると知識が劣るのは仕方がないだろう。
次にこまちゃんだが
こまちゃんが最も動物に関する知識描写が少なく、判断が難しい。しかし、ほたるんが「トカゲ」だと思っていた生物を「ヤモリ」だとしっかり認識していることから、田舎育ちのおかげかある程度の知識はあると判断できる。また、家に侵入したイタチを一目で見抜いている。これは非常に有力情報であり、彼女たちが暮らしている地域に生息する生物に関して言えば、引っ越してきて1年に満たないほたるんに、4人の中で最年長のこまちゃんが知識で劣るとは考えにくい。
これらすべてを加味すると生物に対する知識量=信憑性の高さは
なっつん>こまちゃん>ほたるん≧れんちょん
この程度ではないだろうか。ということは単純に考えると4人が発見した動物は
ハクビシン>アライグマ>イタチ≧タヌキ
の順に可能性が高い。
次は動物の生態から考えてみよう。
前提として「のんのんびより」の世界はあっと先生の複数の記憶から生成された世界であり、牛の標識や学校名など北海道的だが、明確にどの場所とは決まっておらず、ただ「日本」であるということのみ確定している。
順に見ていこう。
食肉目ジャコウネコ科に属する中型の哺乳類である。
体色は灰褐色で、顔面と四肢の下部は黒褐色、鼻筋が白いのが特徴的です。尾は長く、尾先が黒褐色である。 頭胴長61~66cm、尾長40cm、体重3kg程度である。
東南アジア大陸部から中国南部、海南島、スマトラ、ボルネオ、台湾に分布する。日本では、北海道から九州まで各地で生息が報告されているが、分布域は連続せず、まだら模様となっている。このような分布状況、江戸・明治期における確実な生息記録がないことから外来種と考えられている。
山地帯下部から集落周辺に生息する。
木登りが得意で樹上をよく利用する。夜行性で、昼間は樹洞や岩穴あるいは人家の屋根裏などで休息する。
雑食性。果実やトウモロコシ、鳥類やその卵、昆虫やその他の小動物など幅広く食べる。植物質は果実がほとんどで、それ以外の植物質は好まない。
www.choujuhigai.com様より引用
アライグマ
食肉目アライグマ科に属する中型の哺乳類である。
体毛は灰褐色や茶褐色などがあり、目のまわりと鼻筋が黒く、尾の輪模様が特徴的である。指が長く、器用で、前足で物をつかむことができる。 頭胴長は42~60cm、尾長は20~41cm、体重は4~10kgである。
原産地はカナダ南部からパナマで、日本にはペットとして輸入された。
しかし、ペットには不向きな性格であるため野外に放されたり、器用な手先をつかい逃げ出す個体も多いなど、現在、全国すべての都道府県で野生化が確認されている。
水辺を好むが、森林、湿地、農耕地、市街地など幅広い環境に適応し生息する。木登りが得意で、原産地では樹上を住処とするが、日本では家屋などの天井裏に住みつくケースも多い。
雑食性。野外に定着した個体は、果実・野菜・穀類、カエルやネズミなど小動物、鳥類、魚類、昆虫など幅広く食べる。
www.choujuhigai.com様より引用
イタチ
食肉目イタチ科に属する中型の哺乳類である。
体色は茶から山吹色だが、額から鼻にかけて濃褐色の斑紋がある。雌は雄より小型である。 頭胴長は雄27~37cm、雌16~25cm、尾長は雄12~16cm、雌7~9cm、体重は雄400~500g、雌145~200gである。
本州、九州、四国、佐渡、隠岐諸島、伊豆大島、淡路島、小豆島、壱岐、五島列島、屋久島、種子島などに分布する。北海道、利尻島、礼文島、伊豆諸島(三宅島、八丈島、青ヶ島)、長崎県青島、口之島・中之島・諏訪瀬島・平島・悪石島・喜界島・沖永良部島・与論島(鹿児島県)、座間味島・阿嘉島・南大東島・北大東島・伊良部島・波照間島(沖縄県)など、ネズミ類駆除のため導入された個体が定着した島もある。北海道には、1880年代後半に侵入、定着した。
西日本では近年、外来種のチョウセンイタチが優勢になり、イタチは山間部などに追い込まれている。
主な生息地は平野部であり、特に河川周辺を好む。
西日本では主に山間部に生息する。
雑食性。
力工ル、ネズミ類、鳥類、昆虫類など陸上小動物のほか、水に入りザリガ二など甲殻類や魚を食べる。また、果実なども食べる。
www.choujuhigai.com様より引用
タヌキ
食肉目イヌ科に属する中型の哺乳類である。
体色は全身白毛が少しまだらに入った灰黒色で、四肢は濃褐色。尾はふさふさし、尾先は黒毛が目の周囲には黒のやや濃いパンタ模様がある。
頭胴長50~60cm、尾長15cm、体重3~5kgである。
北海道、本州、四国、九州、奥尻島、佐渡、瀬戸内諸島(淡路島、小豆島、屋代島)、壱岐、甑列島、天草上島・下島などに生息する。奥尻(北海道)・知夫里(隠岐諸島)の両島には移入されたことが知られている。
郊外の住宅地周辺から山地まで広く生息するが、亜高山帯以上に生息することは少ない。
雑食性。鳥類、ノネズミ類などの小型動物、昆虫、作物や果実類などを採食する。キツネやイタチ類に比べ、狩りが苦手なため、甲虫の幼虫、 ミミズなど土壤動物の採食量が多い。
www.choujuhigai.com様より引用
では各動物の共通点を見出し、可能性の高い動物を割り出してみよう。
- ハクビシン 頭胴長61~66cm、尾長40cm
- アライグマ 頭胴長42~60cm、尾長20~41cm
- イタチ 頭胴長 雄27~37cm、雌16~25cm、尾長 雄12~16cm、雌7~9cm
- タヌキ 頭胴長50~60cm、尾長15cm
体長では個体差はあるだろうが、一般的にはイタチのみが一回り小さい。見た目の面では歌詞冒頭の「太陽が沈みそうなのん」から夕刻であると仮定すると、どの動物もそれなりに似ているため、視界の悪さから全ての動物に見間違える可能性は十分にあるだろう。
個人的な印象だが
「ハクビシン」と「イタチ」(細身)
「タヌキ」と「アライグマ」(太め)
この組み合わせが似ていると感じた。
生息地についてはどれも問題ないだろう。どの動物もあの田舎に生息していると考えられる。また、全て雑食性のため食の問題もなさそうだ。
各動物という面から考えると、イタチのみ少し体長が小さいため、選択肢から外れていると考えられる。
では結論に入ろう。すべての面を考慮して判断し、可能性が高い順に並べると
ハクビシン>イタチ>アライグマ≧タヌキ
と結論づけた。
まず可能性が一番高いのは「ハクビシン」だろう。一番知識のあるなっつんの発言。体長の大きさも3種類の動物とほぼ一致。など問題なし。
次に「イタチ」を選んだ理由だが歌詞の「イタチですよ」というほたるんの自信ありげの口調。それに対する否定がない。「ハクビシン」と体長を考慮しなければ最も容姿が近い。などの理由からだ。
アライグマ、タヌキに関しては非常に微妙なところだ。知識で恐らく優っているこまちゃん、しかしれんげは「具」という名前のタヌキが自宅に棲みついているので見慣れているタヌキを他の動物に見間違えるか疑問が残る。
とは言ってもれんちょんの「タヌキなのんっ」に対する否定がこまちゃんの「アライグマでしょ」であること、小学1年生という年齢から判断力、認識力が低く自分が見慣れた動物だという勘違い、思い込みからの発言と考えて僅差でこまちゃんに軍配があがった。
しかし、この二種は「ハクビシン」と「イタチ」よりも太めなため、可能性が高い「ハクビシン」とは似つかないので「イタチ」よりも下という位置に落ち着いた。
以上のことから彼女たちが出会った動物は「ハクビシン」である。